ロボット プログラミング 科学教育 岡山市

21世紀に生きる子供たちに伝えておくべきことは

公教育と明確に違った体験型学習(Active learning)を実現するのが私の願いです。未来の創り手となる子ども達に何を準備しなくてはならないのか。児童期の多様性を尊重し、Scientific literacy(科学の論理展開力)の育成を目指します。

小2の女の子に「囲炉裏」とはと・・・・

当塾には、作文教室と速聴読の読書クラブがあります。特に低・中学年には、語彙を繋がりとして「音読」「聴読」することを推奨しております。首都圏私立中学入試の頻出文庫や古今の名著を、プロのナレーションで聴きながら読書します。集中力を高めるためのスピード調整も可能です。また、読みっぱなしにならないように、グループ単位に、読む前・後の読書ワークが課せられます。


そろばん教室と読書クラブに通う小2の女の子と、作品に出てくる「囲炉裏」について話し合いました。古い日本家屋の構造から冬場の体感、さらには暖房と料理に必要な理由など。土壁や畳による湿度の調整機能まで説明すると聞き入っていました。断片で視覚的記憶があるようです。話題はお化けに変わり、主導権は彼女に移りました。「口裂け女」の裂けた理由とは・・。古い日本家屋からのインスピレーションでしょうか。それとも彼女のマイブームなのか。


日本語の醸成期に、語彙の蓄積は重要です。しかも、文脈の繋がりの中で、生きた語彙を理解すると、未知の語彙の類推も可能となります。人工知能のディープラーニングとそこは同じです。文法の前に、そのインプットの質と量が問われます。作文力は、そのはるか後の話です。ある意味この結果です。


学童期の学習姿勢の育成に、丁寧に「ともに考えてみる」者の存在は大きいと某有名塾講師が、自身の幼少期を振り返り語っていました。
「効率よく教えたがる先生」と「答えを早く聞きたがる生徒」の関係を清算する必要があります。効率と近代化は同義でもあり、同罪でもあります。21世紀に求められる人間力は、人間自ら育てなくてはなりません。

博士たちの協演 岡山理科学館の一日

今日は朝から、岡山理科学館教務掛としての務めです。スコラこども塾は志を同じくする岡山理科学館「日曜理科研究室」を全面的に協賛支援しております。


10時45分からは、本年3月まで医科大学分子生物学教授であった濃野博士の授業です。原子構造の説明や周期表からはじまり、水とエタノールを対比した検証実験で、「物質の三体」を体感しました。気化した水蒸気の冷却過程で大気圧の影響を示す実験。大きな音を立て瞬時に潰れるアルミ缶に一同大きな歓声を上げ、目と記憶に刻みこみました。生徒との応答も、アクティブラーニングを実践してきた博士の本領を発揮する場です。お孫さんと事前演習をした実験の手際は鮮やかでした。
最後は、化石燃料の生成の歴史。太陽エネルギーの転換効率と化石燃料埋蔵量の限界。再生エネルギーの必要性を説く濃密な授業でした。幅広くこどもたちの感性を揺さぶる名授業でした。


13時30分からは東京大学で量子力学を修め、テラヘルツ領域で博士号を取った岡山理科学館館長上田博士の授業です。自身の国際的な研究経歴を紹介し、学業で修めるべきことが、その進むべき道によって異なることを語った後、上田博士と生徒の掛け合いが始まります。「次元とは?」「何次元まで考えられるか?」「宇宙は外から見たら?」「宇宙は他にも存在するのか?」生徒の質問は途絶えません。
そののち「回転する」をテーマに授業が始まりました。身近な回転するもの、宇宙レベルで回転するもの、微小世界で回転するもの。その回転を維持するメカニズムとは?博士の問いかけは続きます。生徒の声が次々と発せられ、授業は熱を帯びていきます。残像を利用した「ベンハムのコマ」。重心移動を遠心力とともに実証する「逆さゴマ」。ジャイロ効果を含む「地球ゴマ」。生徒たちの歓声は90分響き続きました。ジャイロの振動を体感する7名は、個々に体感を叫び声にして反応しました。いつも発表に消極的な子も、皆の期待の拍手を得て、「逆さ駒」の重心移動を観察発表しました。皆の脳のテンションは最高潮です。


昨日までの仕事で心労も募り、一週間の疲れが極限に来た今日日曜日。その疲れを一掃する充実の授業に敬意を感じる59歳でした。