ロボット プログラミング 科学教育 岡山市

21世紀に生きる子供たちに伝えておくべきことは

公教育と明確に違った体験型学習(Active learning)を実現するのが私の願いです。未来の創り手となる子ども達に何を準備しなくてはならないのか。児童期の多様性を尊重し、Scientific literacy(科学の論理展開力)の育成を目指します。

Sciety5.0を生きる子供たちに伝えたいこと


「プロンプトエンジニア」という職種が脚光を浴びている。アメリカでは、33万5000ドル(約4500万円)以上の年収を稼ぐことも可能だという。


 プロンプトとは、生成AI(人工知能)に入力する指示文のことだ。プロンプトを工夫することで、AIが生成するコンテンツの質を上げるのがプロンプトエンジニアリングである。従来のプログラマーは将来的には「ChatGPT(チャットGPT)」をはじめとする自然言語系の生成AIに取って代わられるのではないか。


 プログラミング言語はどうなるか。「Ruby(ルビー)」の開発者として知られる「まつもとゆきひろ」氏は「いつかはコンピューターが人間の言葉を理解して動作するようになるだろう」と20年前の記事の中で答えている。


 それから20年以上が経過し、コンピューターは本当に人間の言葉を理解できるようになった。もう夢物語ではない。コンピューターが文章から人間の意図を読み取り、その通りの動作を行うことが可能になったのだ。このことは、プログラミングやプログラミング言語、それを扱うことを職業とするプログラマーの「終わりの始まり」を意味すると考えている。


 プロンプトエンジニアリングに関しては、米オープンAIがいくつかの文書を公開している。この文書では、同社が提供するChatGPTなどのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)のプロンプトエンジニアリングに関して、8つの手法を紹介している。まず第一が「最新のモデルを使うこと」だ。OpenAIが提供するモデルはどんどん改良されているので、これは当然だろう。あとは「希望する文脈、回答の長さやスタイルなどをできるだけ詳細に記述する」「出力形式を例示する」「してはならないことの代わりにすべきことを指定する」といった手法を紹介している。


 現実のプロンプトエンジニアの業務はもっと複雑だろう。ただし、プロンプトエンジニアリングは、いわば現状の生成AIに不足している部分を小手先で補うものでしかない。生成AIが進化して人間の意図をより正確にくみ取れるようになれば、基本的には不要なものだ。例えば、生成AIの基盤技術GPT-3で有効だった具体的なテクニックの中には最新のGPT-4で不要になったものもある。


 従って、プログラマーよりもプロンプトエンジニアのほうが職種としては先に消える可能性がある。生成AIがプログラミングを駆逐するよりも、生成AIの進化がプロンプトエンジニアリングを駆逐するほうが早いと思うからだ。ただ最後は、生成AIがプログラミングを駆逐する時代がくるだろう。そのときエンジニアに必要とされる技能は、プロンプトエンジニアリングのような狭い範囲のノウハウではなくなっているはずだ。部分最適と全体最適を読み解き統括する見識だ。


 生成AIの動作原理や内部メカニズムに関する深い理解が必要だし、それまでのITシステムの構造やそれを担ってきたアルゴリズムも理解していなければならない。でなければ、生成AIでシステムをどのように置き換えるかという具体的な方針を決められないからだ。次世代を生きる子供たちは、そうした時代が来ることを見越して今から広範に腕を磨いておいてほしいものだ。

読解力が初等期に優先されるわけ

2025年度大学入試共通テストに「情報Ⅰ」が組み込まれ、国大協は採点科目の方針を打ち出しました。有力私立大学も採用の方向で検討しています。入試センターの試作問題を見ると、実社会でのデータ処理を前提としたアルゴリズムが長文で出題されている。論旨を読み解き数理的ロジックの要点を問う形式です。

他方、中高一貫校や私立中学(特に首都圏)では、学科を統合した問題や記述問題が多数出題されており、この傾向はますます拡大していきます。そのため、「読解力」「思考力」といった基盤的資質の育成が、初等期の最大のテーマとなります。


教育デザインラボ代表の石田勝紀氏は、読解力を「頭のOS-オペレーティングシステム-」に例えて説明します。WindowsやMacなどOSに対して、officeソフトや各種アプリが国・数・理社などの学科に例えられます。原始的なOSへデータ量の多いソフトをインストールすると固まってしまいます。逆にバージョンアップしたOSに、アプリをインストールすると「サクサク」と事もなげにインストールできて、スムーズに展開できます。


だから、読解力の良い子は他の学科の学習効率が高いのです。