ロボット プログラミング 科学教育 岡山市

21世紀に生きる子供たちに伝えておくべきことは

公教育と明確に違った体験型学習(Active learning)を実現するのが私の願いです。未来の創り手となる子ども達に何を準備しなくてはならないのか。児童期の多様性を尊重し、Scientific literacy(科学の論理展開力)の育成を目指します。

ますます多様化する人生スタイル 教育は?一元的なまま

2019年に早期退職を実施した上場企業は35社。早期退職者数は計1万1000人を超え、社数、人数とも2018年(12社、4,126人)比で約3倍となった。人手不足にもかかわらず、給与が高い中高年を中心に早期退職者が増えている異様な構図である。しかも、好業績の名門企業がずらりと名を連ねている。この状況は、一層ひどくなると指摘されている。


内部留保をため込んだ日本企業だが、この30年間給与の伸びは先進国で最低だ。イギリスやドイツに遠く及ばない。内向き評価の人事制度で、経営陣もリスクを恐れるタイプが主流となる。イノベーションや変革を避ける傾向が強くなってしまった。従って、設備や人材の再投資や再教育に及び腰となる。結果、金だけが溜まって、人と設備は古くなる。これが日本の一般企業の現状だ。


人生100年時代を謳いながら、45歳を過ぎると早期退職の洗礼が待ち受けている。高収益企業ほど、AIやデータ解析、グローバルビジネス、新規事業領域などで若手専門職の中途採用を強化する必要がある。従来の職能給制度の枠を超えた高額報酬を支払う事例も増えている。生き残りをかけた構造改革だ。一括新卒採用を見送り、雇用の流動性は待ったなしだ。アメリカでは2027年フリーランスが正規雇用を上回るとの観測すら出始めた。


「平等な試験制度」「偏差値での評価」が教育の基盤である根拠は、ことごとく崩れていく。「平均を上回る」ことなど意味を持たなくなるほど多様化と流動化は進む。何が「平均」なのかさえ分からなくなる。


教育の専門家に「産業社会を過剰に意識した教育論は邪道」という人がいる。では、子供たちが将来生きていく社会を無視した「普遍的教育」など存在するのだろうか?それはガラパゴス的純血主義としか思えない。無責任の一語に尽きると思うのだが。

いよいよ本格化するデータイノベーション

2020年は分岐点の年となろう。


蔓延した世界の金融緩和は、わずかな引き金で大規模な調整局面を迎えるだろう。今世紀初頭のリーマンショック時の中国のようなけん引役は、もはや世界に存在しない。孤立と民族主義を色濃くする先進各国は、長い停滞を余儀なくされよう。ブレグジットや米中貿易戦争は、それに拍車をかける。
一方、データサイエンスは加速度を高め、産業社会を構造的に転換していく。雇用や少子高齢化問題は、異次元のレベルに到達する。2027年アメリカのフリーランス人口は、組織雇用を上回るとのデータも出た。AIやiotさらには量子コンピューティングが、2030年までに世界8億人の既存雇用を消失させるとの試算もある。平均的な雇用者の労働時間は減ると同時に、流動化と専門化が進み、年齢や肉体とは関係なしに「知=アイデア」での労働が重きをなす時代になる。同時に、既存の技術は急速に賞味期限を迎える。


石油からデータに資源が移行した産業社会で、いかに生き抜くか。働き方や学びの在り方が根本から問われてくる。


画像認識や音声認識などに続き、文章読解の分野でも人工知能(AI)が人間の平均レベルを超え始めた。米グーグルの新AI技術「BERT(バート)」が壁を突き破った。これまでAIは、大学入試センター試験の英語試験で長文読解問題や単語の並べ替え問題に全く歯が立たなかった。ところがグーグルが18年10月に発表したBERTで常識が一変した。文章読解問題を人間より高い正答率で解いたからだ。東ロボのAIも飛躍的に成長した。NTTのコミュニケーション科学基礎研究所(NTT CS研)が開発したAIに19年のセンター試験の英語筆記科目を解かせたところ、200点満点で185点、偏差値64.1を達成したとのこと。


ニューラルネットワークをBERTは24層重ねており、「言語らしさ」という概念で文脈を把握し、遠い文節の語彙まで推論できるようになっている。ベクトル列や確率の応用も異次元に到達している。


この時代に、生き方(働き方・学び方)はどうあるべきか?
昨年の文部科学省の有様を見る限り、おのおのが自分で考えるしかない。

事象を読み解き、課題を抽出し、問題解決へと試行錯誤する基盤的な能力を身に着けるために優先順位はどうあるべきか。初心に帰って考え続けるつもりだ。