1989年の世界の時価総額ランキングで上位50社中32社を占めた日本企業は現在、トヨタ自動車1社のみ。上位には米GAFAや、中国アリババ集団、騰訊控股(テンセント)など米中勢が並ぶ。
優秀な社員がいないわけではない。問題は戦略立案能力が弱いこと。すなわち、リーダーシップの差である。従来型の雇用形態を引きずり、新しい発想を生み育てる組織になっていない。「必要なのは働き方改革より経営改革だ」と外資のネスレ日本高岡社長は断言する。同様に、ソフトバンクの孫会長も日本の企業マインドの衰退を指摘する。「このままでは忘れられた国」になると。経営層と日本型組織の制度疲労は深刻だとの指摘だ。
ただ一方、東大や京大の目先のきいた若者は外資コンサルや投資銀行への就職を目指す。30代に起業する準備として、キャリアと能力に磨きをかける算段だ。彼等のあこがれる人物像が変わった。GAFAの創業者たちや日本のプリファード・ネットワークスなどユニコーン経営者たちに熱い視線を向けだした。
「新卒一括採用と終身雇用」は、低成長の労働集約型低賃金企業の代名詞となる。確実に時代は変わっていく。副業や起業が織りなすダイバーシティー型ライフスタイルに日本が変容していかないと、アジアの後進国となる。
同時にネックは「画一型量産教育モデル」だ。常に問いかけ自問自答する世界標準と大きく乖離する。それが、日本のイノベーションを阻害している。