NTTが久しぶりに存在感 独自の配電網
1989年に企業価値世界一に輝いた名門も、GAFAなどのプラットフォーマーに席巻され、今や日本の一通信会社となっている。しかも、巨体なだけに切れのある身動きが取れない。理系エンジニアの志望者も減り続け、日本でもユニコーン企業に勢いがある。
そのNTTが巨体を生かした事業を進める。全国約7300の電話局など固定電話拠点から、病院などの災害時のバックアップ電源が必要な施設には配電網を構築するというものだ。名案である。固定電話は負の資産となったが、その配電インフラを再利用して地域の再生エネルギーとリチュームイオン電池に連動させる案だ。
電力会社の送電網は、原子力発電枠を温存しているため、再生エネルギーの配送電が困難になっている。この問題を解決する新たなスマート配電網となる。蓄電池と相互乗り入れすれば、大きな鉄塔送電線は不要となる。
千葉で起こったような病院が孤立し、透析患者などの生死にかかわる危機を回避できる。なにより田舎に強いことだ。半世紀前NTTの固定電話配線網である地方電話局は田舎の最大インフラだった。今よみがえる1970年代の遺構と言える。
高校生のころ、NTTの大きな電話局を仰ぎ見て通学したものとしては、喜ばしい限りだ。