I AM KENJI 永遠に
後藤健二氏がアイスルに惨殺されて二年がたつ。シリアやイラクの内戦にあって、こどもや女性の目線に寄り添い、ジャーナリストとして死んでいった記憶はまだ生々しい。
日本人が誇りに思う果敢な最後であった。
格差や貧困は、人を狂気に誘導する。時代を超えた事実ではある。
その申し子が、自称「イスラム国」だ。
ただ、懸念するのは、報道の仕方だ。
後藤氏は無政府主義者ではない。国家が彼を蹂躙したのではなく、反国家が彼を虐殺したのだ。
私自身は、後藤氏を偲ぶものであるが、決して国家を軽んじるものではない。
軽率な二元論(自由と権力)で、彼の人生を単純化して欲しくはない。
戦後日本のリベラルは、安易な論法の上に惰眠をむさぼった。結果
経済と民族格差と宗教的怨念の交差した状況に説得力を持たない。