廃藩置県が進まない電力会社 維新は遠い
地震など緊急時に再生エネルギーを主力として活用するためには、安定した広域の配送電システムのネットワークが必要となる。しかも、補完エネルギーは石炭でなくLNGでないと機動力のある対応はできない。リードタイムの差だ。
「高効率の石炭火力を世界に」と長く経済産業省と産業界は訴えてきた。世界の非難をものともせず「原発神話」と二本柱で進められた国策であった。一方、配送電網は電力会社の一社完結で、徳川幕政の藩のように地域独占が許されてきた。スマートシティーも広域ネットワークも再生エネルギーも許容しない藩制であった。
いち早く、廃藩置県を実現し広域な配送電ネットワークによる再生エネルギーの主力電源化を進めないと災害時の危機は拡大する。今後も補完的な液化天然ガス発電は必要となる。しかし、害あっても永続的に役に立たない原発と老朽化した化石燃料発電所で日本の21世紀は支えられない。ドイツでは北部の風力を南部に送る送電網に20兆円投資する。その分風力の発電コストは低い。フランスの原発への依存を最小限に留めたいからだ。
閉鎖的な島国の単線的な思考から脱却し、広く多様性のある思考回路で21世紀を展望する「科学の眼」を育む必要がある。豊かに永続する日本を目指さないければ。