原発停止中 酷暑の夏を乗り切る電力
記録的な猛暑の中でも、国は国民に電力の節約を呼び掛けていない。一番の理由は省エネだ。2010年より12%以上基礎需要は減った。同時に夏場の太陽光発電が貢献している。高値の欠点は抱えつつも供給には寄与している。東電は石油発電所2基を使わずじまいだとか。余裕の夏だ。
一昔前、原子力発電所(当時50基稼働)を止めたらエネルギーパニックになるとか評論している人は多かった。石油依存が高まり自給率も下がると。これは科学的な議論ではなかったことが証明された。科学的事実は敬遠され、政治や経済的利害が優先されていた。
しかし未だ課題も多い。日が暮れた夕時の需要が高止まりしている。地熱や風力の安価な供給が待たれる。また、地域的に不足した瞬間の他からの供給が迅速に制御される必要がある。発送電分離は待ったなしだ。
スマートシティー構想で、蓄電池の開発が進めば、地域電力の自給自足も可能となろう。同時に太陽光の価格競争力も欧米並みに近づけなくてはなるまい。全て科学技術の課題だ。最近、大志を持った日本人起業家は本拠地をアジアに求めだした。古い産業基盤が少なく、イノベーションに寛容なアジア諸都市に活路を求めている。日本社会の閉鎖性を嫌ってのことだ。
科学的事実に素直に向き合える教養こそ21世紀の「読み、書き、そろばん」である。同時に科学的な好奇心も育むべき大切な要素だ。