日本の給料は安い 30年で世界は変わった
年収1千万円は低所得層――。米住宅都市開発省の調査では、サンフランシスコで年収1400万円の4人家族を「低所得者」に分類した。厚生労働省によると日本の17年の世帯年収の平均は約550万円、1千万円を超える世帯は10%強に過ぎない。
英系人材サービスのヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(東京・港)によると、サイバーセキュリティーのコンサルタントの最高給与額(18年)は日本が1300万円なのに対し、香港は2480万円、シンガポールも1970万円だ。同社幹部は「日本から高いスキルを持った人材が流出する可能性がある」と指摘する。
世界129カ国と中国19都市を対象に実施する「総報酬サーベイ」を基に、2007~17年の報酬を分析した。システム開発マネジャーの場合、07年を100とすると17年の年収は日本は99と微減。一方、ベトナムは145、中国・上海は176、タイは210に達した。
NECや富士通やNTTデータは先端分野で高い能力を持つ人に数千万円の年収を用意するなど、危機感を強める。ただ、変化のスピードは鈍い。多くの企業で年功賃金は色濃く残り、労働組合が一律の賃上げにこだわる姿は変わらない。一律皆低賃金だ。
大学入試制度改革でも英語民間試験を拒否するが、海外の大学を目指すものからすれば、国内向けと海外向けの二元試験となる。全く無意味なガラパゴス日本教育だ。給与が低い方へ日本人を閉じ込めようとしている。
教育も雇用も全て閉鎖的なガラパゴス化が進み、低い給与の密室化が進む。政治は無知をさらけ出し、成長を忘れた国民は、停滞を日常として生きていくのだろうか?