「ゆでカエル」の逸話 IOT社会への警鐘だ
世界市場を相手にする空調機器メーカーの社長が、「ゆでカエル」を例えに話したと聞く。カエルは真水に入れて、加熱すると温度変化に気づかずに死ぬそうだ。20世紀の常識に慣らされて、IOT社会に突入すると会社は死滅する例え話だ。
空調機器も、グーグルなどが進出すると「住空間の総合環境管理」となる。湿度や温度だけではなく、採光・二酸化炭素濃度制御や睡眠の質管理が目的となり、デバイスとネットワークでシステム化し、ビックデータ活用のAIがきめ細かな生活環境を提供しだす。
機器だけのメーカーは死に絶える。絶滅するか配下に従属する。「ゆでガエル」だ。AIやデータサイエンスのエンジニアを養成しないと、市場での生き残りは望めない。すぐ目の前に迫った革命だ。
そのデータ転送の5Gの領域で、米国と中国とEUが覇権をむき出しにした争いに突入した。輸入関税など表層にすぎない。科学技術覇権が本質だ。この問題では、かねてより米国は「一国主義」だった。トランプも表層に過ぎない。米国にとって科学技術こそが国力の源泉だからだ。米国のシェール革命は中東政策をも変容させた。常に安全保障と表裏の関係にある。
また、AIの意思決定プロセスは「ブラックボックス」化しやすい。法体系とも密接に関係し、誰もがAIの基本を学ばないと身を守ることが出来なくなる。これも不可避だ。「ゆでガエル」にならないために、企業も国家も個人も学ぶ必要がある。